アレッポの石鹸の歴史
シリアで作られてきたアレッポ石鹸の歴史は、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の生産プロセスが完全に理解されるずっと前の古代にさかのぼります。そして、伝統的な石鹸作りには、いつも何らかの形のアルカリが関与していました。
石鹸製造の最古の記録は紀元前2800年の古代バビロニアに遡ります。バビロニア人は脂肪を植物の灰と一緒に煮ていました。この灰にはアルカリの一種が含まれていました。灰からアルカリを作るプロセスはずっと後になってから認識されましたが、灰中のアルカリが脂肪と反応して石鹸を作るという工程は徐々に確立されてきました。
シリア・アレッポ地方の砂漠ではシナンという植物が自生していました。
この植物の灰(アルカリ)と脂肪(脂肪酸)を煮ることで石鹸が作れることが確立して人々に広まると、元々オリーブの生産地であったことから、石鹸の原料の油脂にオリーブオイルが使われるようになり、アレッポはオリーブ石鹸の産地としても名が知られていきます。
このシナンという植物からアルカリである、苛性ソーダ・水酸化ナトリウムを抽出することも石鹸作りの工程の一つでしたが、19世紀、産業革命時代に海水を電気分解することで苛性ソーダ・水酸化ナトリウムを作り出す方法が発見されました。これにより苛性ソーダ・水酸化ナトリウムが標準化され、また大量に生産されたことで石鹸作りのプロセスがより一貫性を持ち、さまざまな種類の石鹸を製造することが可能になりました。
石鹸の歴史は古く、この発明によりどれだけ人々の清潔レベルが上がったことでしょう。
今では、石鹸のない生活など考えられません。
covit-19の流行で見直された石鹸での手洗い。
先人たちの探求心に改めて感謝です。
アレッポの石鹸とは
シリアの第二都市アレッポは石鹸発祥の地と言われていて、ここで作られているのが世界中で愛用されているアレッポの石鹸です。
オリーブの産地でオリーブオイルの生産量が多く、石鹸の原料が豊富にあり、交易品としての需要も高いことから石鹸の生産が盛んになり、2011年のシリア紛争が起こる前は200軒以上のアレッポの石鹸工場が存在していました。
メソポタミアとヨーロッパをつなぐ交易の要所であったことから、アレッポの石鹸は贈り物やお土産として近隣諸国だけでなくヨーロッパにも広まっていきました。アラビア語では「サボーン ハラブ」、英語では「Aleppo Soap」、フランス語では「Savon de L’Alep」と呼ばれ世界中で愛されています。
アレッポの石鹸は、人工香料や合成着色料を一切使用せず、長い年月をかけて自然に熟成(乾燥)させるため、肌に優しく、アレルギー反応を引き起こすことが少ないという特徴があります。こうした特徴からアレッポの石鹸は世界的に高い評価を受けており、美容や健康に関心がある人々に愛用されています。
「マルセイユ石鹸(サボン・ド・マルセイユ)」の製法はアレッポの石鹸が原点とも言われています。
(昔からアレッポのスークでこの様に売られました)
「アレッポの石鹸」は商品名のよう使われてますが
シリア・アレッポ(地名)の特産品の総称であり、地名である「アレッポ」や指定商品を表す「石鹸」は一般名称なので文字だけの構成では商標登録は認められません。
このような言葉は誰かが独占できるものではありません。
アレッポの石鹸製造業者は一つではありません。
どの工場で作られた石鹸であるかを判別するため、石鹸には必ずメーカーの刻印が押されています。
アレッポの石鹸職人たちの現在
2011年にシリア紛争となり多くのアレッポの石けんの工場が破壊され、大半のメーカーは生産をやめた中で、
一部は国内の安全な海岸の近くを生産地とし、残りのメーカーは難民の道を選びました。
現在、当社が販売するアレッポの石鹸工場はトルコ南東部に位置するガジアンテップ町にあります。
オリーブの産地であったことから昔から石鹸の生産が盛んで、現在も手作り石鹸はどのお土産屋さんでも売られています。
また、この町の近くの村々には自生するローレルの群落があちこちにあり、ローレルオイルを生産する農家がたくさんあります。
ガジアンテップは石鹸作りに必要な条件が揃ったアレッポの石鹸職人にとってはベストな土地でした。
熟練した石鹸職人の技術と良質な原料、伝統的な釜焚き製法によってオリーブとローレルの石鹸は作られています。
バラカート社について
バラカート社について 1945年、社長のバラカート・ナデル氏がアレッポ市内にバラカート社としてアレッポの石鹸の工場を設立。原料にこだわり、高品質でありながらリーズナブルな価格を実現。2011年の生産量はシリア国内でトップ […]
石鹸の使い方【洗髪編、洗髪方法、シャンプー石鹸】
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