アサド政権は約54年間シリアを支配してきました。
シリア国民は恐怖を感じながらの日常で、その生活に慣れていくと差別や賄賂、汚職が当たり前の
社会で生きていくと言うことです。親子代々独裁政治を行っている北朝鮮を想像してみて下さい。
まるで国という企業を独占的に家族で経営し、役員や重役をイエスマンで固め裏切れば粛正される。
マフィア的という点でこの二つの国はそっくりです。
このような国で成功を収めると言うことはどういうことなのでしょう。
携帯電話を例に挙げると、国民全員が欲しがる携帯電話ビジネスは成功が約束されている事業の一つです。
これをアサドファミリーの誰かが独占的に経営するわけです。従業員はもちろんアサド支持者な訳です。
とても安定している仕事なのでファミリーにコネのある人はお願いしてその仕事に就けるわけです。
こうしてどんどんアサド支持者が増え続けアサド基盤が強固になっていくのです。
おいしい思いは仕事だけではありません住居や車、子供の教育あらゆる場面において支持者が優遇され
そうでない者はあからさまな差別を受け入れるしかありません。
独裁政権下で成功する者たちは政権が放っておかないし、それなりのつながりがあからこそ成功出来るのです。
私どもの知るアレッポの石鹸職人は難民となってシリアを去りました。何故ならアサドに我慢できなかったからです。
一方、アレッポのみならずラタキアというアサドの地元に工場を作ることを許可された者もいました。
その違いはアサドを支持したからでしょう。たとえ他に理由があったとしてもアサドへの忠誠が絶対条件なはずです。
なぜ今10年前以上前のことを言っているかというと、10日ほど前にアレッポの石鹸が無形世界遺産に登録されたというニュースを知りました。
そのニュースを喜んで取り上げているのが業者と中東専門家だったので何か隠された目的でもあるのかと俯瞰しながら記事を読み返したりしていました。
そんな中、反政府勢力がダマスカスを陥落したという大きなニュースが飛び込んできました。
シリア市民が反政府勢力を歓迎したことで、民間人の血を流すことなくシリア北西部からアレッポ、ハマ、ホムス、
ダマスカスをわずか10日で制圧しアサド政権を倒したのです。
世界遺産のニュースはどうでもよくなりました。
難民となった多くのシリア人が母国に帰ることができるのです。
私たちと取引のあるアレッポの石鹸職人たちもアレッポに帰ることができるのです。
そして心から願っています。
シリア人にとってアサド政権下の悪夢が終わろうとしているこのときに、母国の復興に一生懸命なシリア人のことを
貶めるような嫌な言葉で情報を流してほしくないと。
https://www.youtube.com/watch?v=OnDYzPERUfA
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