弊社工場がアレッポで操業し内戦が始まってからは、石鹸工場の視察が行えていませんでした。
現在トルコに工場が移転してからは年に2回、石鹸作りのシーズン(12月~2月頃) と夏の石鹸の乾燥時期に視察に行くことにしています。この視察により石鹸への私の知識が深まるだけでなく、弊社の色々な要望を工場側に理解してもらう良い機会です。
日本のマーケットは、非常に厳しい製品基準を求められるため品質管理は大変重要な点です。また、単に製造上のチェックだけに重点を置いている訳ではありません。
「多くの日本の皆さんがアレッポの石鹸を愛用して下さり、 内戦で石鹸の製造に影響が出ていることを心配してくれている。そして何よりも職人達の無事を祈ってくれている」ことを伝えました。
昨年(2016年)の2回の視察は大変有意義でした。
職人達と私の間には言葉や文化、習慣の壁はありません。1回の視察で約3日~1週間ほど彼らと共に作業をし、食事をしながら家族のこと、アレッポで起こったことや日本のことなど沢山のことを語り合いました。
アレッポで起きたことはこのブログでは伝えられない程残酷で悲惨な状況でした。シリア人としてどうすることも出来ない絶望を感じます。
視察する前は電話で工場マネージャーだけと話すだけでしたが、視察を重ね他の職人達と一緒に作業をしながら交流していくと徐々に職人達の意識が変わってきました。
石鹸作りを通して自分達が必要とされ、 この石鹸が日本の皆さんの役に立っているという誇りが徐々に戻ってきたように見えました。その思いが石鹸作りにも反映されてきました。
トルコでの石鹸の製造を重ねるごとに、より品質が向上しているのがわかります。
日本の皆さんのご声援が石鹸職人達の生きる希望へと繋がったのだと思いました。